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今月の法話

令和2年8月 No.388
平和 心の抑止力

 聖徳太子が制定されたと伝えられている『憲法十七条』。その第十条の前半を意訳すると、次のようになります。

 「心の怒りをなくし、りの表情をて、他の人が自分と違っても怒ってはならない。人それぞれに心があり、それぞれに執着を持っているものだ。相手がこれこそと思っても、自分は良くないと思うことがあるし、自分がこれこそと思っても、相手は良くないと思うことがある。自分は必ず聖人で、相手が必ず愚かだというわけではない。皆ともに凡夫なのだ」。

 争いは、互いの正義がぶつかり合うところに生まれます。すなわち「私は間違っていない。間違っているのは、あいつの方で、愚かなのはあいつなのだ」という思いが衝突するのです。ただ、私たちは争いそのものを回避しようとはしますので、「あいつは愚かだから、言っても仕方がない。ここは私が我慢をしておこう」と一度は止まります。しかし、その我慢は、あまり続くものではなく、むしろ「私は我慢をしてやっているのに、あいつはちっとも分かっちゃいない」と、更なる不満が生まれ、それが溜まりきったときには大爆発を起こします。

 今月のカレンダーの言葉には、「心の抑止力」とあります。これは単なる我慢というわけではないはずです。必要なのは、「私が必ずしも正義ではない」という自覚なのではないでしょうか。「自分は必ず聖人で、相手が必ず愚かだというわけではない。皆ともに凡夫なのだ」と意識しながら生きることが、とても大切なのではないでしょうか。

大阪府四条畷市 自然寺 加藤 真悟

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