法話を聞く・読む / 今月の法話
今月の法話
「お陰さま」見えているものが すべてじゃない
以前、ある本に小学生の女の子の詩が紹介されていました。おぼろげな記憶ですが、こんな詩です。
「空に浮かぶ虹って上から見るとみんなまあるいんだよ 私たちが雨上がりに見る虹はいつもはんぶんこ」
子どもの感性って、おもしろいですね。私たちが見る虹は半円。でも、空の高いところから見ると、本当は丸いのかもしれない。その本では「上から見ると」を「仏さまの目で見ると」と味わっていました。私たちには半分にしか見えないものも、仏さまにはまあるく見えている。私たちの目に見えているものが、すべてではないということです。
今年、夏の甲子園に2年連続出場を果たした長野県・松商学園。長野県大会優勝後、松宗勝監督がスタンドの3年生に向けて語った言葉が心に残りました。
「6月30日のメンバー発表の日に、いろいろ心が揺れ動いたと思います。でもそのときに『チームのために何でもやりたい』と言ってくれたその言葉。連覇の要因は君たちです。ぜひスタンドにいる3年生。これからも豊かな心で、明るい未来になることを信じていますし、ぜひ社会がそういった人が輝ける社会であってほしいと思います。本当にありがとう。」
グラウンドで活躍する選手は、きらきらと輝いて見えます。でも、私たちが見ているのは、やっぱり「はんぶんこ」なのかもしれません。選手の背後には、チームメイト、家族、先生、学校関係者、そしてスタンドにいる仲間たちがいる。すべての輝きには、それを支える「おかげさま」があります。その「おかげさま」が見えてくると、「ありがとう」と頭が下がります。
仏さまは、私たちには見えないところまで、まあるく見ていてくださるのでしょう。仏さまの目には、誰かを支えている人も、目立たないところで頑張っている人も、みんな大切な一人として映っている。松宗監督が願う「すべての人が輝ける社会」。それは、仏さまが見ておられる「まあるい世界」なのかもしれません。「はんぶんこ」にしか見えない私たちを、まあるく見ていてくださる仏さま。その眼差しに出遇う中に、私たちも豊かな心が育まれていくのでしょう。
広島県広島市 明光寺 牛尾 かおり
今月の法話 バックナンバー(過去1年分)
下記より過去1年間の今月の法話のバックナンバーをご覧いただけます。
- 令和8年9月No.461『涙石 涙に濡れて黙しけり まことのいのち ためさるるとき(梅原眞隆)』/長谷山 晃子 (福岡県)
- 令和8年8月No.460『星は昼でも輝いているんだな』/田坂 亜紀子 (山口県)
- 令和8年7月No.459『変わりゆく私を支える 変わらない願い』/三原 哲信 (熊本県)
- 令和8年6月No.458『雨の日も晴れの日も私の人生』/幡多 哲也 (岡山県)
- 令和8年5月No.457『仏法は愚かさに気づかされる道』/樹木 正法 (山口県)
- 令和8年4月No.456『心も耕さなければ荒れてしまう』/熊鰐 信行 (福岡県)
- 令和8年3月No.455『お浄土に生まれるいのちを 今 生きている』/鴬地 清登 (大阪府)
- 令和8年2月No.454『生かさるる よろこび匂う 春の梅 (中村久子)』/市場 慧樹 (福岡県)
- 令和8年1月No.453『年頭の辞』/大谷 光淳 (門主)
- 令和7年12月No.452『ともかくも あなたまかせの 年の暮れ』/徳正 俊平 (広島県)
- 令和7年11月No.451『ご命日はお浄土に生まれた日』/筑波 敬道 (山口県)
- 令和7年10月No.450『ちがいがあっても輝きあえる』/森 祐真 (大阪府)



