法話を聞く・読む / 今月の法話
今月の法話
変わりゆく私を支える 変わらない願い
ある研修会で同期の受講生に年齢をお聞きすると、「〇〇歳にならせていただきます」と言われてハッとしました。さまざまな関係性やお支えの上に私という存在がある、ということに出あうとき「おかげさまで、ならせてもらう」と。
ところでもうすぐ私は五十歳にならせてもらうのですが、その実感や心の準備はすこしも出来ていません。年齢の項目に「五十歳」と記入する…みたいなことと向き合うとき、漠然とした不安が心をよぎります。ならばこの不安の正体は何かと考えてみると、「できることならばいつまでも変わらずにいたいものだ」という内なる願いに他ならないと気づかされます。何をどう思うとも時間は過ぎゆき、私は常に変化し移ろうものであるということを、お釈迦さまは諸行無常と仰せになりました。
この漠然とした不安に下を向く私を見抜いて、阿弥陀如来さまは南無阿弥陀仏の声となって、私の人生を底支えするようにご一緒くださいます。『仏説無量寿経』というお経さまには「生死勤苦の本を抜かしめたまへ(あなたの人生の苦悩を、その根本から解決する)」とあります。私の生と死を丸ごと引き受けて、その意味を変えてゆくことによって、私の人生の苦しみを根本から解決したいと願われました。この願いを「本願」と言い、この本願は時間と空間を超えて存在し続ける、普遍的なものです。いつの時代にあっても、どの場所にいても、その人に色あせない安心をもたらすことができるからです。
この本願という阿弥陀さまのお心に出遇い、よろこぶ心が開きおこるとき、たとえば、「なる」ものが「ならせてもらう」ものに転じていきます。変わりゆくということは、見方を変えれば、変わることができるということです。真実によび覚まされて、私の人生の軌道が修正されてゆくのです。そのような意味において、変わらない願いに出遇うとは、私が阿弥陀さまによって変えられてゆくということだと言えます。
熊本県八代郡 西福寺 三原 哲信
今月の法話 バックナンバー(過去1年分)
下記より過去1年間の今月の法話のバックナンバーをご覧いただけます。
- 令和8年6月No.458『雨の日も晴れの日も私の人生』/幡多 哲也 (岡山県)
- 令和8年5月No.457『仏法は愚かさに気づかされる道』/樹木 正法 (山口県)
- 令和8年4月No.456『心も耕さなければ荒れてしまう』/熊鰐 信行 (福岡県)
- 令和8年3月No.455『お浄土に生まれるいのちを 今 生きている』/鴬地 清登 (大阪府)
- 令和8年2月No.454『生かさるる よろこび匂う 春の梅 (中村久子)』/市場 慧樹 (福岡県)
- 令和8年1月No.453『年頭の辞』/大谷 光淳 (門主)
- 令和7年12月No.452『ともかくも あなたまかせの 年の暮れ』/徳正 俊平 (広島県)
- 令和7年11月No.451『ご命日はお浄土に生まれた日』/筑波 敬道 (山口県)
- 令和7年10月No.450『ちがいがあっても輝きあえる』/森 祐真 (大阪府)
- 令和7年9月No.449『「ご恩送り」いただいた「ご恩」のおすそわけ』/岡村 遵賢 (山口県)
- 令和7年8月No.448『「追悼」同じ過ちは二度と繰り返しません』/石丸 涼道 (山口県)
- 令和7年7月No.447『自分の悲しみをとおして人間の悲しみをしる(宮城 顗)』/朝山 大俊 (大阪府)



