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今月の法話

令和8年10月 No.462
「お陰さま」見えているものが すべてじゃない

 以前、ある本に小学生の女の子の詩が紹介されていました。おぼろげな記憶ですが、こんな詩です。

「空に浮かぶ虹って上から見るとみんなまあるいんだよ 私たちが雨上がりに見る虹はいつもはんぶんこ」

子どもの感性って、おもしろいですね。私たちが見る虹は半円。でも、空の高いところから見ると、本当は丸いのかもしれない。その本では「上から見ると」を「仏さまの目で見ると」と味わっていました。私たちには半分にしか見えないものも、仏さまにはまあるく見えている。私たちの目に見えているものが、すべてではないということです。

 今年、夏の甲子園に2年連続出場を果たした長野県・松商学園。長野県大会優勝後、松宗勝監督がスタンドの3年生に向けて語った言葉が心に残りました。

「6月30日のメンバー発表の日に、いろいろ心が揺れ動いたと思います。でもそのときに『チームのために何でもやりたい』と言ってくれたその言葉。連覇の要因は君たちです。ぜひスタンドにいる3年生。これからも豊かな心で、明るい未来になることを信じていますし、ぜひ社会がそういった人が輝ける社会であってほしいと思います。本当にありがとう。」

 グラウンドで活躍する選手は、きらきらと輝いて見えます。でも、私たちが見ているのは、やっぱり「はんぶんこ」なのかもしれません。選手の背後には、チームメイト、家族、先生、学校関係者、そしてスタンドにいる仲間たちがいる。すべての輝きには、それを支える「おかげさま」があります。その「おかげさま」が見えてくると、「ありがとう」と頭が下がります。

 仏さまは、私たちには見えないところまで、まあるく見ていてくださるのでしょう。仏さまの目には、誰かを支えている人も、目立たないところで頑張っている人も、みんな大切な一人として映っている。松宗監督が願う「すべての人が輝ける社会」。それは、仏さまが見ておられる「まあるい世界」なのかもしれません。「はんぶんこ」にしか見えない私たちを、まあるく見ていてくださる仏さま。その眼差しに出遇う中に、私たちも豊かな心が育まれていくのでしょう。

広島県広島市 明光寺 牛尾 かおり

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