法話を聞く・読む / 今月の法話

今月の法話

令和4年5月 No.409
うことつかなえば また

 山口県長門市俵山深川倫雄という和上さま(僧侶)がおいででした。この和上さまがご門徒のご法事に参った際、そのお宅のお仏壇の前には一升瓶の日本酒が供えてあったそうです。

「今日は日本酒をお供えしたんじゃな」
「そうです。この日本酒は主人が大好きな日本酒でした。だから今日、主人が喜ぶかと思い、この日本酒をお供えしました」

 この言葉を聞いたとき、和上さまの表情が曇りだしたそうです。そしてこう仰せになられた。

「なぁ、奥さん。あなた早く、主人を仏さまにしちゃれよ」
「あれ?和上さまはいつも仰せではないですか。如来さまがの名の声となって、私のところまで来てくださって、命終わっていくときに私を極楽浄土まで連れ帰ってくださると。主人は今極楽で浄土の仏さまとなっておるんじゃないんですか?」
「奥さん、あなた先ほど主人が喜ぶと思って日本酒をお供えしたと言っただろう。ということは、主人はまだお酒が好きなところにおるのだな。だからまだ主人は仏さまになっていないのではないか」
「そんなことを言うなら、一体何をお供えしたら主人が一番喜ぶんですか」
「それはね、奥さん、あなたのお念仏だよ。あなたが『南無阿弥陀仏』とお念仏をお供えしたら、仏さまとなった主人が、『あぁ、お前もその南無阿弥陀仏に出遇ってくれたのか。お前の命も死んでしまいの命じゃなくなったね。私と同じ極楽に参って、私と同じ浄土の仏となる尊いいのちを生かされているんだね。離れ離れになるのではないね、よかったよかった』と喜んでくださるんだよ。だからね、お仏壇には南無阿弥陀仏をお供えするのが一番上等なんだよ」

 と和上さまが仰せになったといいます。

 お仏壇には色々なものをお供えするかと存じます。その中で最上のお供えは何か、それは『南無阿弥陀仏』のお念仏です。

山口県防府市 万行寺 石丸 涼道

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