法話を聞く・読む / 今月の法話 バックナンバー(No.441)
今月の法話 バックナンバー(No.441)
令和7年1月 No.441
年頭の辞
年頭の辞
新しい年のはじめにあたり、ご挨拶申し上げます。
昨年、1月1日に発生した令和6年能登半島地震とその被災地で9月に発生した豪雨災害をはじめとして、昨年も激甚災害の指定を受けた災害が数多く発生しました。ここに災害によってお亡くなりになられたすべての方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。皆さまが1日も早く、日常の生活を取り戻されますことを願っております。
また、2022年2月に始まったロシア連邦によるウクライナ侵攻はいまだに続いており、2023年10月以来のイスラエルとパレスチナの武力衝突は関係国を巻き込んで、多くの犠牲者が出ています。私たちは仏教徒として、あらためてお釈迦さまの「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。
己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」(『ダンマパダ』第129偈)というお言葉を心にとどめ、あらゆる人々が平和のうちに暮らすことのできる世の中の実現に努めてまいりましょう。
親鸞聖人は混乱する世の中にあって、阿弥陀さまのご本願に出遇われ、往生浄土の道を歩まれました。それは、どのような修行をしても煩悩を滅し、さとりを開くことができない私が阿弥陀さまのおはたらきによって、必ずさとりを開くことのできる身とさせていただくことです。そして、お救いにあずかる喜びと感謝の思いから、自己の執われに無自覚であった者が、執われに縛られている自己であると知らされます。このような私たち念仏者は、阿弥陀さまとともに豊かな人生を歩んでいくことができます。本年もみ教えを聞き、依りどころとして1日1日を大切に過ごしてまいりましょう。
(『大乗』令和7年1月号より転載)
門主 大谷 光淳