法話を聞く・読む / 今月の法話 バックナンバー(No.431)

今月の法話  バックナンバー(No.431)

令和6年3月 No.431
楽しい時に笑顔が育ち 苦しい時に心が育つ

 「育つ」 というのは 「育てられる」 という事です。

 私たちは仏さまのお慈悲の世界に育てられます。するといつしかお慈悲を温かいものとよろこび、お慈悲が尊いものとしていただけるようになるのです。

 お慈悲とは、あなたの痛みを私の痛みとし、あなたのよろこびを私のよろこびとする、自他の境なく、相手のそのままを受け止めていくお心のことを言います。それを実現なさっているお方を仏さまと仰いでいきます。

 とある宗門校に講演を請われてお話をしに行きました。その2か月程前に私の子どもが誕生し、お話の中で子どもの誕生についてお話をしたところ、生徒の数人が拍手と共に「おめでとうございます」と言ってくれました。すると驚いたことに、その拍手がさざ波のように全体に広がっていき、気がつけば500人ほどいた生徒たちみんなが拍手をしてくれました。大変嬉しい気持ちになったことを思い出します。

 その後、理事長とお茶をご一緒しながらお話をした時のこと、理事長が「うちの生徒達はすばらしいでしょう。あなたのお子さんの誕生を自分のことのように喜ぶことができる。理事長としてこんなに嬉しいことはないです」と誇らしげにおっしゃいました。また、「うちの学校には色んな人間がいます。しかし、その子たちは皆、仏さまのお慈悲の心を学んでいます。これがいいんでしょうね。仏さまから知らず知らずのうちに何が大切か、何が尊いかを教えていただいているんですよ」ともおっしゃいました。

 私たちの笑顔の裏には何があるでしょう、私たちの心の成長の背景には何があるでしょう。きっとその成長は一人ではなしえなかったはずです。
温かく、尊い仏さまのお心を尋ねさせていただきましょう。

兵庫県姫路市 圓福寺 福岡 智哉

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