法話を聞く・読む / 今月の法話 バックナンバー(No.391)

今月の法話  バックナンバー(No.391)

令和2年11月 No.391
今しかできないことを大切に

 今年の3月頃から新型コロナウイルス感染症が流行し世の中を大きく変えました。今まで当たり前であったことが当たり前でなくなった今、当たり前であったことは有難いことだったのだと改めて思い知らされます。あるお寺の掲示板にこんな言葉が書かれてありました。「人との距離は離しても心の距離は離さない」。コロナ禍の中、人と人との関わり方も変わり淋しさを感じます。即効性の薬のない現在、自分や家族、大切な人の命を守るために予防や自粛することはとても大切なことです。しかし、そのことだけにわれて、今、自分が限りある命に生かされているという事実を見失なっているような気がします。

 私たちの世界のあらゆるものは一瞬一瞬に変化し、変わらないものなどひとつもありません。常に移り変わっていくのです。今日の1日のいのちは決して戻らないいのちの一日です。この一瞬一瞬のいのちも二度と戻らない大切ないのちなのです。

 親鸞聖人はご和讃に「如来作願をたずぬれば 苦悩有情をすてずして 回向としてまひて 大悲心成就せり」と述べられています。限りあるいのちを生きていることを忘れ、本当に大切なことを見失っているこの私に、自らのすべてをかけてはたらいてくださっているのが阿弥陀さまであるとお示しくださっています。

 この阿弥陀さまのみ教えをお聞かせいただくとき、今、私が限りのあるいのちに生かされているという事実に目覚め、この一瞬一瞬のいのちを輝かせる人生が開かれ、今しかできない大切なことが明らかになるのです。

熊本県宇土市 宝林寺 經 智敬

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