法話を聞く・読む / 今月の法話 バックナンバー(No.375)

今月の法話  バックナンバー(No.375)

令和元年7月 No.375
言葉しにも武器になる

 言葉には、言っていることは間違っていなくても、言わなくていい言葉があります。

たとえば夏の暑い日に、知り合いから「暑いですね」と声をかけられたとします。

そうやって声をかけられたら、「暑いですね」と応えるのがいいでしょう。そのように応えることで、その場が和やかな雰囲気になります。それを「夏だから暑いのは当たり前でしょう」と応えたならば、どうなるでしょう。きっと相手の表情はこわばり、その場には重苦しい空気が流れるに違いありません。「夏だから暑いのは当たり前」というのは、間違ったことを言っているわけではありません。しかし言わなくていいことなのです。

 また、幼子が転んで「痛いよう」と泣いていたとします。そうやって子どもが泣いていたら、「痛いね、痛いね」と言って、その子に寄り添おうとすることが大切なのではないでしょうか。そうすることで、子どもは安心して泣くことができます。それを「前を見て歩かないから転んだのよ」と言ったならば、どうなるでしょう。きっと子どもは自分の過ちを責められているようで、辛い気持ちになるはずです。「前を見て歩かないから転んだ」というのは、言っていることは間違っていません。しかし言わなくていいことなのです。

 言葉には、人に和らぎを与えるはたらきもあれば、人を嫌な気持ちや辛い気持ちにさせるはたらきもあります。たとえそれが正論であっても、相手を追い詰め苦しめることになるときがあります。

 言葉には、言っていることは正しくても、言わなくていい言葉があるのです。

福岡県 光蓮寺 北嶋 文雄

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