法話を聞く・読む / 今月の法話 バックナンバー(No.372)

今月の法話  バックナンバー(No.372)

平成31年4月 No.372
いには 意味がある

 先日、ある方から「お寺さんのお話を聞くと必ず仏さまという言葉が出てくるけれど、私は仏さまという言葉の意味がよくわかりません。仏さまってどんな方なんですか?」と質問を受けました。言われてみると確かに、わかっているようでわからないのが「仏さま」という言葉ではないでしょうか。『仏説観無量寿経』というお経には「仏心とはこれなり」と説かれています。つまり、「仏さまとはお慈悲のお方だ」というのが一番シンプルで的確な答えでありましょう。

 「慈」とは「あなたの幸せが私の幸せ」と感じる心のことで、「悲」とは「あなたの悲しみが私の悲しみ」と共感する心のことです。そして、この慈悲というあり方そのものを「仏さま」というのです。なんだ、そんな簡単なことかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。けれども言うは易し行うは難しとは正にこのことで、現実の自分というのはお慈悲とは正反対の生き方しかできていません。場合によっては誰かの幸せを奪ってでも自分のものにしたいし、誰かの悲しみは他人事として放っておきたいとまで考えるのが私たちの正直な姿です。

 ここで大切なことは、慈悲の実践ができるかどうかではなく、「お慈悲」を尊いと感じられるかどうかということです。「なかなか実践はできないけれど、確かにお慈悲というあり方って良いものですね。お慈悲という生き方を1つの目標として生活させていただきます」と感じることができたとき、仏さまを尊いお方と敬う生き方が表れてきます。そういう価値観をいただくことを「仏さまとお出遇いする」というのです。

広島県呉市 登照寺 服部 法紹

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